先日のヘリテージマネージャースキルアップ講座では、興福寺五重塔の修理保存工事についての講義がありました。
現在の五重塔は室町時代応永33年(1426)に建立されたものですが、それまでにも落雷や兵火による類焼による再建が5度にわっているそうです。その後、現在まで600年近く保たれています。
昭和27年に国宝に指定されています。
現在、素屋根の基礎の工事が進んでいます。
今年の7月には素屋根が完成し、令和7年から令和12年の間に保存修理工事が行われ、令和12年に素屋根が解体されて令和13年に保存修理工事が完了する予定とのことです。
図を見ていると、高さ約60mの大きな素屋根がかかるようです。
興福寺の五重塔は高さが50.937mで東寺に次いで2番目に大きな五重塔です。今回の工事は高さのある建物の保存修理工事としても注目が集まっているとのことでした。
今回は組物の修理も行われるとのことで、この塔の特徴的な斗栱の形式についても詳しく教えて頂きました。大工の工夫による独自の斗栱がこの塔の姿の良さに関係しているとのことで、大変興味深いお話でした。また、かなり大きな欅材が多用されているとのことで、使用部材の良さは当時の興福寺が勢力があったということにも関係するとのことでした。
修理を重ねることで100年後、200年後、もっと先の未来にも同じ姿を見ることが出来ることを思うと、それぞれの時代の修理事業に関わられている方の知恵と工夫と志を感じ、胸が熱くなります。
近くで見ても遠くから見ても恰好の良い棟です。
奈良町の南の方からまっすぐこの塔を望みながら北上できる通りがあり、その道を通るときは古から変わらぬであろう眺めに気分が高揚します。周囲の景色が変わっても五重塔の姿は変わらずです。
高校時代には、学校帰りに界隈を友人とうろうろしていたことを昨日のように思い出します。