葛本でえちゃんの家がほぼ完成しました。
外観は全体に軒を低くしており、長い軒先を作っています。
ご夫婦お二人の平屋のお住まいです。越屋根部分は小屋裏部屋です。
床面積は平屋25坪+小屋裏部屋5坪の比較的コンパクトな住まいですが、LDKと主寝室の他にご夫婦それぞれの部屋も確保し、洗面脱衣空間で3畳分、キッチンも広々としており、生活するうえでは十分な広さになりました。廊下を無くして一部回遊できる間取りにしています。また、約9畳の小屋裏部屋は普通の階段で上がることが出来るようにしたので、収納場所としてもちょっとした籠り部屋としても日常的に使いやすそうです。
和風の住まいがお好みとのことで、玄関ホールは和風空間にしています。
床や天井、間仕切りの縦格子の他、靴箱や収納の扉、入り口の格子戸や障子の桟、戸の枠など全て杉材を使っています。縦格子の奥正面は居室の入口のドアがあり、左に曲がると小屋裏に上がる階段があります。縦格子を設置して扉の正面性を穏やかにしています。
靴箱の扉は杉の源平無地を縦張りで使っています。源平の建具は初めて製作しましたが、杉らしい趣があり良い感じになりました。玄関土間のところには式台を設けています。
照明はぼんぼり型のペンダント器具です。直線的な空間の中に丸みのある照明器具を設置すると空間の雰囲気が和らぎます。
靴箱の上のモザイクタイル。名古屋モザイクの麻の葉というデザインのものです。光が当たると目地の凹凸がはっきりとして美しさが増します。
土間部分もタイル張りです。表面に凹凸がある鉄平石のようなタイルです。
リビングへの入口の戸も縦格子のデザインにしており、奥の小上がりの和室の障子も縦組子です。
リビングとダイニングキッチン続きで6畳の小上がりの和室があります。各部屋の中心に7寸角の桧の柱を配しています。大黒柱を中心に据えることは計画当初からのご希望でした。
床は吉野杉の上小板、小上がり和室の敷居下も杉板を張っています。敷居鴨居や建具枠、幅木、キッチンのカウンターなど、造作部分は全て吉野杉を使っています。
リビングの壁に奥行きの浅いニッチを作っており、壁面はガラスタイル張りですが京唐紙のパネルをはめ込めるように工夫しています。
京唐紙パネルをはめ込むと、部屋の印象も変わります。お施主さんはタイルと京唐紙がお好きで、それぞれの空間に使っています。
正面から見たところ。 光琳大波です。このパネルは両面唐紙張りで裏面は雲桐文様になっています。
左側の扉はご夫婦それぞれの居室に通じる扉です。玄関ホールから入る居室と内部でつながっており、回遊できるようになっています。
小上がりの和室はダイニング側にも開いており、障子は引込み戸で全開することが出来ます。
リビングとダイニングの境は3枚の引込み戸を入れておりこちらも全開することが出来ます。こちらも杉の源平の板を使っています。当初はガラス無しの戸の予定でしたが、上部をガラスにすることになりました。戸を閉じていても玄関ホールまで見渡すことが出来ます。
キッチンの対面カウンターの棚上の壁もガラスタイルを張っています。横長の壁ですがタイルを張ることで印象的なカウンターになりました。
水回りのトイレ、洗面脱衣室・浴室はダイニングアクセスです。引き戸を開けると正面が採風タイプの勝手口なので、勝手口(北)から手前の小上がりの和室まで風が通ります。暑い時期には涼しい風が入りそうです。
トイレは入って右側にあります。
トイレの壁にも京唐紙を張ることになりました。瓢箪紋様です。
小上がりの和室の掃き出し窓も縦組子の障子を入れています。
玄関ホールの間仕切り縦格子の内側から見たところ。
無垢の木の縦格子の穏やかな間仕切りは風情を感じます。格子の間仕切りは40年以上前に建てられた和風住宅でよく使われていました。改修工事の設計依頼で当時の住宅を見に行くと、玄関に縦格子が使われているのをよく見かけます。当時は建材類も少なく大工さんの手刻みで無垢の木を使って家づくりをしていたことも有り、このような造作も普通に取り入れられていたことと思います。
ポストやインターホンを設置する壁はこれから工事をします。
庭の芝生張りと植栽はお施主さんがご自身でされます。青々とした芝生と樹木のお庭を拝見できるのを楽しみにしています。