天保14年(1843年)に建てられた築182年の利兵衛の家。一期工事が完成しました。

外部木製建具の窓ガラスが入り、鎧張りの枠の塗装も終わりました。

改修前の様子。昭和の頃に応接間に改修されたときに出窓つきでアルミサッシの入った洋風な外観に改造されていました。お施主さんとも話し合い、手前の長屋門で多用されている高めの腰張りの鎧張りの仕上げにすることにしました。

建築当初は鎧張りではなかったかもしれませんが、民家らしくなったと思います。手前の梅のつぼみもほころんでいました。
鎧張り施工の様子はこちらから

玄関土間の改修後。元々照明器具がセンサー付きのスポット照明のみだったため、暗さを解消するために中央にぼんぼり型の器具を設置しました。

改修前の様子。(調査時)
玄関土間から応接間の入口としてアルミの引き違い戸が入っており、足元の段差部や腰までの壁にはタイル張りが施されるなど、洋風な仕上げが施されていました。この写真はフラッシュをたいているので明るく見えますが、スポットライトひとつでしたので暗めでした。(逆に上の写真は正面の部屋からの光の逆光で暗くうつっていますが、実際はかなり明るくなりました。)
改修後は足元は土間仕上げにして、開口は木製ガラス建具と舞良戸の3枚引き戸にしました。右の入り口のドアも、古建具の木製ドアに取り替えて頂きました。

玄関横の部屋入口。

北の窓からは庭の植栽と長屋門が見えます。民家らしいとても良い眺めです。

こちらのガラス戸も古建具で、ガラスの下の方に霞(すり)が入っているものです。いずれの古建具も施工の寧楽工舎さんお手持ちのものを使わせて頂きました。部分塗装はこれからになります。

解体着工時の様子。
暖炉を模した装飾のある応接間でした。工事前は立派な革張りのソファーと重厚感のあるサイドボードが置かれており、大変立派な応接間でした。昭和40~50年代に流行っていた応接間のスタイルで、今も変わりなく残されておりとても懐かしかったです。民家の玄関横の部屋を応接間に改造されているところはたくさんあります。
奥の南の部屋は、吹抜けのあるキッチンに改修しました。

キッチンは大工さんの造作で作っていただきました。テーブルは一時使用のために施工の寧楽工舎さんが置いてくださっています。

建築当初は竈が置かれていた場所で吹抜けだったのですが、その後の改造で天井が張られていました。今回の工事で天井を撤去して構造材を現しにし、吹き抜けの空間に戻しました。

キッチンはI型キッチンと、対面に大きな調理台を設置しています。お施主さんはご自宅のキッチンで薬膳料理教室を長年開催されており、この度の改修で自宅用キッチンと分けて料理教室のできる広めのキッチンをつくることになりました。


吹抜け上部には窓はありませんが、東と南からの光で十分に明るい空間になりました。

元々、北の玄関から南の庭まで土足で通り抜けることのできる通路があり、改修後もその利便性は残すということで土間の通路を作りました。モルタルに少し色粉を入れて頂いて拭き取りで仕上げて頂きました。写真ではわかり難いですが、三和土のような自然な色になっています。

工事前の様子。(解体中の為、荷物がたくさん出ています。)元は2部屋に区切られていて、全体に天井が張られていました。

玄関横の部屋とキッチン側のつながり。風も通り抜けそうです。

料理教室に来られた方にもお使いいただく来客用トイレ。内部は土壁で仕上げ、手洗い器は信楽焼きのものです。
年内に一期工事が終わりお正月を迎えて頂けることになり安堵しています。