現在工事中の利兵衛の家の現場見学会を先日開催させて頂きました。

この建物は江戸時代後期天保年間に建てられた築182年の民家で、江戸時代は代々油屋を営んでおられた商家です。今回の工事では耐震改修と東側落ち棟の昭和期に改造された部分の改修を行います。

工事中の現場を見て頂き、建物の特徴と計画の話、計画と同時に検討した限界耐力計算法での耐震計画の話をさせて頂き、着工から現在までの工事の様子をスライドで説明しました。

こちらで使わせて頂いている杉の床板は、瑞穂酢さんの桶用に育てている山の杉の木を使わせて頂きました。すでに床板も張られておりますので、原木を分けて頂くところから製材、加工、張り終わりまで写真で見て頂きました。

床板用に本実加工された杉の板。無節の板が多く赤身もたくさんとれました。

改修中の部屋の北側の窓からは長屋門の建物が見えます。
長屋門も立派ですし手前の庭も整えられており、とても良い景色ですねと参加者の方が仰っていました。古い民家は開口部の外の庭のありかたがよく考えられており、庭も含めての住まいということをいつも感じます。庭も年月とともに成熟しているように思います。

お施主様のご厚意で、改修範囲外の座敷も見学させて頂きました。玄関側から入らせて頂いているところ。入口には大戸が入っていて現在も大戸を使われています。

座敷側は整形九間取で、天井も高く立派な座敷構えです。座敷側はほぼ江戸時代の建築当時のまま使われています。施主様もいろいろな話をしてくださり、参加者の皆さんも興味深く見学していました。玄関からこの座敷周りはこの家の重要な部分ですので、見学させて頂くことが出来てとても有難かったです。

今回の見学会は、主に設計事務所独立スクールにご参加いただいた方向けに開催させて頂きました。スクールでは民家や町家の改修の話を聞きたいというご希望が多く、実際の現場を見て頂く機会になればと思い、施主様や施工者の寧楽工舎様のご協力のもと開催させて頂いた次第です。施主様、寧楽工舎様、古建築の専門家としてご参加いただきましたM様、そしてご参加いただきました皆様、有難うございました。
完成後に完成見学会をさせていただく予定をしております。完成見学会の開催はブログなどでご案内させて頂くと思います。民家改修にご興味のある方はご参加いただければと思います。
古い民家を壊して建て替えるのではなく、現代の暮らし方に合うように手を入れながら住み継ぐことを選択される方が増えればと思います。