江戸後期に建てられた民家。現在改修工事の準備中です。いつも座敷で打ち合わせをさせて頂いておりますが、座敷のしつらいが夏仕様に衣替えされていました。

毎年、この季節に襖から簾戸に入れ替えられているそうです。簾戸は穏やかな仕切りで風が通ります。
この簾戸は50数年前に新調されたものだそうですが、とても目の詰まった良材で作られていて傷みも見られません。
床は大きな段通から籐むしろに衣替え。畳よりも手触りがひんやりとしており通気性もあります。
私の実家でも夏になったら敷いていたので懐かしく思います。ぺたっと座ってもごろごろしても冷んやりしていました。仕舞う時は長いまま簀巻きにして片付けるのですが、立てることも出来ないので置き場が限られて大変そうでした。(一時的に廊下に置かれている時も)

簾戸の帯の部分には、波に浜千鳥の透かし彫りが施されています。押さえの横桟は黒竹で裏面の木製の桟に小ぶりの銅釘で留められています。

引き手は煤竹節丸引き手。夏仕様の簾戸でよく使われるもので普段はなかなか見ることがありませんが、とても素敵な引き手です。細かな細工がたくさん施されており、間近で拝見でき楽しかったです。

こちらは玄関の格子戸。風がよく通ります。格子越しに外の緑が見えると、より涼を感じます。

前栽に入るくぐり戸も格子戸です。風が通るとともに、庭の池などが門屋側から見ることができます。この格子戸、外部使用で何十年も経つのに傷みが少ないのは、適切な材選びをされていたからだと思います。木使いの気遣いですね。
古民家には夏の暑さを凌ぎ涼をとる工夫がたくさん見られます。冬は火をおこして暖を取る、電気に頼らない時代の暮らし方です。現代の暮らしではそうもいかないので、趣きを損なわないように配慮しながら断熱改修をさせて頂くこともあります。