先日、桶の製剤の現場を見学させて頂きました。
橿原市のミズホ酢さんは万治元年(1658年)から米酢の製造を始められ、現在も伝統的製造方法でお酢とお味噌を作られている会社です。それらの製造には杉の桶が必需品で、桶の材を取るための植林された山も自社でお持ちとのとこです。この度、新たに桶を作るために山から120年生の杉の木を数十本伐採され、桶用材に使わないものを分けて頂けると言うご縁を頂き、宇陀の向井製材所さんにお伺いさせて頂きました。

ちょうど製材の真っ只中で、桶用材の製材の様子をしばし見学させて頂きました。
製材には、製材後に桶を作られる桶職人の上芝 雄史(うえしば たけし)さん(藤井製桶所・株式会社ウッドワーク)が立ち会われて、製材面の位置の調整をしながら挽いておられました。


一枚の板を挽くのに、元を見て反対側の末を見て、何度も微調整をされます。

120年生の杉丸太。桶用に植林され育てられているもので、二番玉の断面はほぼ真円で通直(元と末の直径がほぼ変わらない)です。これはとても凄いことなんです。
桶の側面になる側板は、水分が抜けにくく漏れない赤身と白太の間の白線帯(杉の特徴でもある)のところを使います。白線帯の部分がしっかり含まれた板を厚みを揃えて取るためには、ひとつ手前の製材がとても重要になります。上の写真は一つ手前の製材中。赤身に触れないように白太のギリギリのところを製材されています。桶用材として通直に育てられている杉なので、このような製材が可能になります。

本番です。この部分が桶の側板になります。1本の丸太から4枚しかとれません。

桶の外側は白太で、桶の内側は節のない美麗な赤身です。
建築用材の製材は今までも何度か見学させて頂いたことはありますが、桶材の製材の様子を初めて見学させて頂き感動しました。

これが桶材の最良の側板。白線帯が途切れずに板になっています。

赤身と白太の境界部分が白線帯。
側板に節があると水分が漏れて桶としての用を成さないため、山守さんが長い年月をかけて手入れをされながら節のない木が作られます。

中央の赤身のところは厚い材に製材して、桶の底板として使われるそうです。
お酢屋さんが桶を調達するための山ごとお持ちということに驚きましたが、昔は桶や樽の製造のために山を持っていたところも結構あったそうです。(今では全国で数件とのことでした。)
伝統的な方法で桶を作るためには、長い年月を掛けて撫育された目の詰まった杉の木が必要で、そこに製材と桶職人さんの技能があわさって完成することがよくわかりました。
上芝 雄史さん
こんなに大きな桶を作られます。こだわりの桶づくり
良い機会を頂き有難うございました。