計画中の民家は築180年を超える大型の民家で、今回の改修で限界耐力計算法による耐震改修を行います。

建物東側の妻面の壁。

玄関土間から西の座敷側や小屋裏は、真壁のまま使われており構造や土壁の状況が分かります。
室と室の間は襖で仕切られており、外周以外には壁は少ないのですが、つし二階には大きな仕切り壁が主な通りにX軸Y軸どちらにもあったことと、主となる柱が全て通し柱だったこともあり、座敷側については限界耐力計算の基準を満たしている事が分かりました。
玄関土間から座敷と反対側は、元々は土間部分で奥は竈があった痕跡も残っています。こちら側は昭和の頃に応接間や子ども部屋に改修されて大壁になっており、土壁を確認することができません。トイレ棟も増築されていました。

懐かしい応接間。中学生の頃に民家に住む友達の家々に遊びに行くと、どこも玄関土間横の部屋が豪華な応接間になっていました。折り上げ天井や出窓、木目の壁、暖炉のようなデザインも当時の応接間でよく見られたつくりです。
壁の中の状況を確認するために、部分的に穴を空けて土壁の存在の有無を確認させて頂きました。

建築当初はあったであろう土壁は丁寧に撤去され、間柱が入れられて断熱材も入っています。断熱材を少しめくってもらいましたが土壁はありませんでした。
妻面の軸上で計算上の分岐点になる4つの壁を調査しましたがどこも土壁は撤去されていました。

トイレ棟が増築されたところは外部に面していないので断熱材は入っていません。増築と同時期の改修と思われます。
お施主さんの話をお聞きすると、これらは50数年前の改修とのことです。当時はおそらく土壁は無くして断熱材を入れる方が良いと言う考えで施工されたことと思います。おそらく筋交も入っていると思います。
限界耐力計算法は、土壁の粘りが免震的に働き(傾いても倒壊しない)、有効であることを計算により証明する方法ですが、この当時はそのような方法がなかったため一般的な在来軸組工法による補強が望ましいとされていたことと思います。
この妻面の壁には結果的に土壁が残っておらず、土間側の計算値を満たす事が出来ないため、今回の改修で再び土壁を作ります。妻面全体に土壁が入ると、かなりしっかりすることと思います。