民家のつくりの特徴のひとつとして、差し鴨居と言う部材があります。

引き戸の建具の上にある部材が鴨居で、この鴨居のせい(高さ)が大きいものが差し鴨居です。

大きな差し鴨居。この辺りでは地松が使われている事が多いです。
この差し鴨居、次の間の座敷側から見ると、普通の高さ(薄い)の鴨居になっています。

座敷側から見たところ。このように座敷との境にある差し鴨居は、座敷側は座敷の意匠に合わせて普通のせい(薄い)の鴨居になっています。このような表が差し鴨居で裏が普通の鴨居のことを「きつね」と呼んでいる、と大工さんからお聞きしたことがあります。何故きつねなのかというと、表と裏の見た目が違うから騙すという意味とのことでした。現場の建築用語や通称で動物の名前が時々出てくるのは面白いです。

鴨居の溝を見ると、座敷側の溝の底で部材が分かれています。

差し鴨居は民家の重厚なつくりの象徴であるだけでなく、構造として強度を高める役割もあります。大きければ良いというものでもなく、差し鴨居が差さる柱の太さとの兼ね合いもあります。あまり太くない柱に大きな差し鴨居がついていると、大きな地震の時に差し鴨居が強過ぎて柱を折ってしまうことがあるようです。(熊本地震の民家被害調査で、差し鴨居と柱の太さの関連が調べられました。)
また、差し鴨居の空間の天井は構造を現したささら天井で(天井板は張らない)、奥の座敷側は竿縁天井などの天井が張られています。

上段の間の座敷のつくりも含めて、民家の魅力です。
