先日ヘリテージのスキルアップ講座で今井町に行きました。数年ぶりの訪問です。

見学先のひとつが今井文庫でした。店主の上田さんは10年以上前に今井の見学会でお世話になりその後もSNSを拝見しており、昨年「今井文庫」と言うコミニティ&ブックカフェを始められたとのことで訪問したいと思っておりした。

伝統的町家を改修され、天井を取り大きな吹き抜けになっています。広々とした開放的な空間で本を読みながらゆっくりできそうです。今井文庫
面白そうな本がたくさんあり、次回はゆっくり訪問したいです。

本棚を見ていると面白そうな本がありました。帰ってからネットでこの本を探していると本の内容がわかりました。
「今井町 甦る自治都市―町並み保存とまちづくり」
”戦後間もなく今井町を訪れた伊藤ていじ東大教授は、その美しさに息をのんだ。しかし近代化に誰もが憧れていた当時、保存は町の発展に水を差すことだった。学者、行政主導の保全策が挫折を重ねるなか、住民達の対立・葛藤は、やがて自治都市の伝統に活路を見出し住民審議会を軸とした合意形成に至
る。その全過程を再現する。”(amazonより)
スキルアップ講座でも今井町の歴史とまちづくりの講義を受けましたが、商業化させずに住民主体のまちづくりを基本とされているとのことでした。

全体に平入り(軒先が道路側)で、軒先が通っており、1階は格子が並び玄関は半間引っ込んでいます。瓦は基本的には本葺き、2階の軒裏は漆喰の揚塗り(丸か角)、つし2階には虫小窓が見られます。屋根に煙出しが残っているところも多く、時代により屋根の向きが違うものがあります。連子格子は平面構成に合わせて太格子(しもみせ)、中格子(みせのま)、細格子(みせおく)と並んでいるそうです。
道幅の狭さも魅力で景色を作っているように思います。電線地中化も進んでおり電柱の無い通りが多いです。
今井の伝建地区(伝統的建造物群保存地区)内には伝統的建造物が501棟あり、そのうち9つは重要文化財とのことで日本各地の伝建地区の中でも一番数が多いそうです。
翌日はJIAの見学会で再び今井町を訪れ、伝統的意匠で建てられた新築のフレンチレストランを見学させてもらいました。

左側がフレンチレストラン ピノノアール

新築とはわからない伝統的な意匠で周囲の景観に馴染んでいます。設計者の関谷さんが案内してくださいました。

庭を望むカウンター席。

店内の細長い路地を奥に進むと別棟の個室があります。

こちらも細い庭を楽しむことが出来る落ち着いた席です。白い壁内の植栽が美しく感じます。
細い路地状の通路がワインセラー周りを回遊出来たりと、建物中を探訪できる空間でした。
伝統的な外観から中に入ると洗練された空間が広がり、フレンチとの調和が感じられました。
伝建地区では修景を保つために、新築の場合も外観意匠の細かな決まり事があります。今井の伝統的な建造物は今までにも見学させて頂いたことがあったのですが、新築の建物を内部まで見せて頂いたことは初めてで勉強になりました。
今井に初めて行ったのは大学の課外授業の時でした。谷直樹先生に連れられて竈のある文化財の民家を数件見学させて頂いたのを、昨日のことのように思い出します。あの授業が民家の面白さを知るきっかけになりましたので、いろいろな建築を実際に見に行かなければならないですね。