生駒の民家再生工事のビフォーアフターの写真をご紹介します。
数年の間、空き家になっていた民家をお施主さんが購入され、改修工事を行うことになりました。
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当初は庭の樹木がのび放題で西側には高い生垣もあり鬱蒼とした佇まいでした。進入路が狭く車の出入りが難しい状況でした。

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主屋は築80数年の農家型民家で、整形六間取り、東から南に縁側が回る間取りです。
南側三室
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縁側を含めた一体空間とし、床は吉野杉の厚板に張り替えました。差鴨居の低さ(172㎝程度)を解消するために床を全体に18㎝ほど下げています。柱の傷んでいた部分は根継ぎをしています。

同室
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縁側を含めた一体空間にすることにより、明るく広々とした空間になりました。家族が集う居間食堂空間です。
北側三室のうちの中の間
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キッチンに改修しました。
北側三室のうちの東の間西面壁
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天井などで使われていた建材類は撤去し元の根太天井を表しにして、壁も整えて主寝室に改修しました。
同室東面壁
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この部屋は構造の傷みがところどころあったので、補強のための新材を入れて改修しています。梁の新材は構造現しで仕上げています。
北側中の間
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対面キッチンに改修しました。
同室西面壁
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差鴨居から下は開口でしたが、壁をつくり隣室と区切りました。
窓側
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下屋部分(斜めの天井)は直上が屋根のため断熱材を入れて天井を仕上げています。北側壁面も同様で、内側に壁を吹かして断熱材を入れ大壁で仕上げています。
北側西の間
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奥にトイレを配置し、手前は左側の通り庭から部屋に入るホールとしています。キッチン(右側)にも通り抜けることのできる家族の生活動線です。右の壁の出っ張りは、隣のキッチン側から使う造り付け食器棚部分です。この壁の部分はあえて天井まで延ばさず、元々の根太天井が元の四角い区画の通りに見えるようにしています。
元のキッチン(現通り庭)
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建築当初の通り庭の土間に戻しました。改修前は低い煙返しが邪魔なものになっていましたが、土間に戻すことで床が下がり、煙返しの下も通りやすくなりました。煙返しは竈のある土間(写真の左側の空間)の煙が座敷側に行かないためにあえて低い位置に設置するもので、奈良の農家型民家はこのような形態で造られているところが多いです。また、その家の象徴的意味合いもあり、必要以上に大きな材を入れるのも特徴です。壁天井の建材類を撤去すると、元々の壁天井が良い状態で表れました。
通り庭西側の井戸のある土間
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土間キッチンでした。おそらく、当初の竈の空間を改修してこのキッチンをつくり、その後、通り土間に床を張りキッチンを造られたのだと思います。
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壁の仕上げ、土間の仕上げを整えて井戸のある土間室に戻しました。西の外部との開口も、当初の通り1間の引き違いに戻しました。この井戸は15m級の深井戸です。転落防止の目的もあり、すのこ状の杉板で囲いました。揚水ポンプを設置し、庭の散水用として配管してもらいました。
玄関
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床が張られていました。
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土間に戻し、奥の通り庭との間の目板戸も全体に開けることが出来るように再生しました。西側の二室も含めて土間空間に戻しました。部屋に上がる式台も新たに設置しました。
建物外部は痛みのあった東の落ち棟と東の下屋部分の瓦の葺き替えを行い、大屋根(茅葺きの上に鉄板張り)は塗装をし直しました。塗装の色も当初と同じ赤色にしています。界隈の民家では茅葺き鉄板張りの民家の屋根は赤色に塗装されているところが多く、これも時代の変遷で発生したことですが(生業等の変化もあり集落での茅の葺き替えが日常的に行えなくなり、雨漏りを防ぐために鉄板を上葺きすることになった)、赤色に塗装されているところが多いのは地域性もあるように思います。
民家を改修をする時は、出来るだけ民家の特徴を残しながら現代の暮らしに合う改修をしたいと思っています。