古民家で使われていた建具類を工務店さんで保管していただいています。この度保管場所の整理をされるとのことで使えるものを採寸して写真を撮りました。
竪舞良子の入った漆塗りの帯戸。舞良子は蒲鉾面で朱塗りです。帯の部分には優雅な彫り文様も施されています。この辺りではなかなかお目にかかることの無い建具です。二間用の四枚引違戸。

目板格子の建具。2枚引違い戸。これもなかなかしっかりした建具です。

横桟の通るところに目板を太鼓鋲で留めつけてあります。この鋲もよい風合いです。

舞良戸。舞良子は甲丸面。シンプルなつくりですがしっかりしており柾目の杉板も良材です。2枚引違い戸。

帯戸の開き戸。こちらもシンプルな戸ですが帯に彫り文様が入っています。板のところに隙間が空いていますが帯が洒落ているので捨てがたく、なんとか修理して使えそうに思います。

4枚引違いの腰付きガラス障子。腰は杉の1枚板です。ガラス面の入れ子縁は隅丸になっていて柔らかな表情です。

隅丸入れ子縁。

こちらは四枚建ての収納の戸です。帯に引手を兼ねたような彫り文様があり、吹き寄せの横格子が入っています。中杢の一枚板も味わいがありますね。

こちらも収納の戸です。横格子の断面は甲丸面。比較的新しいものですが、目の細かな杉の柾目板が使われています。
珍しく横長の二枚引違いなので使いにくいかなあと思いましたが、この建具を使うための収納を考えることも出来そうで残していただくことにしました。そう思うと楽しくなります。

こちらは高さ120cmほどの開き戸です。露地の仕切りなど外部で使われるもののように思うのですが枝折戸よりは高さがあります。また雨ジミなどの傷みもありませんので完全な外で使われていたものでもなさそうです。埃をかぶっていてむらがあるように見えますが、美品です。
どのような場で使えるか、、両サイドは木の塀で屋根の有る外部で使うとよさそうですが、具体的なイメージはまだ湧きません。
竪框の尖った角出しも独特で、風情のある意匠です。

これはけんどんの2本子持ち格子。子格子は切格子。
ちょっとした窓の外部にも使えそうですが、室内同士の壁の仕切り窓にも使えそうです。

こちらは建具ではなく欄間です。杉の板に宝尽くし文様が彫られています。
右の2枚の文様は、打ち出の小槌、如意宝珠、巻物、宝袋、宝鑰 (ほうやく 蔵を開ける錠・鍵のこと)、隠れ笠、蓑、丁子。どれも宝尽くしの縁起物の柄で、着物の柄としてもよくつかわれるそうです。優雅ですね。
左は五三の桐文様。木の状態を見ると、右の二つよりも古い時代ののものようです。

今回新たに保管していただくのはガラス建具です。引き違いのものが合計16枚あります。
解体しなければならない古民家の建具を、取り置いていただくことになりました。お施主さんもどこかで使っていただければと喜んでお譲りくださいました。

こちらも隅丸の入れ子縁。ぜいたくな作りです。

古い建具には職人の伝統的な技術や意匠を見ることができますし、何と言っても使われている木が今では使えないような良材のものが多いので、処分するのはとても勿体ないです。
従来の日本家屋の内法高さ(鴨居の高さ)は5尺7寸(約172㎝程度)ですので、室内建具の高さもそのぐらいのものがほとんどです。現代住宅の建具に比べるとずいぶん低いのでどこででも使えるわけではないのですが、内法の低い古民家の改修の際にはそのまま活用することもできます。
また、少し建具に袴をはかせて(下框に材を継ぎ足すなど)建具のせいを高くして活用することも有ります。建具自体を修理したり改修するのにも建具職人さんの技術が必要で、いまや数が少なくなっている建具屋さんにお仕事を続けて頂きたく思っています。そのためにも、新築住宅の場合も室内建具は既製品の工業製品は使わず建具屋さんに木製建具を作っていただいています。
まだまだ使える古い建具を、使える場で使うことで味わいのある空間を作ることが出来ます。民家改修の現場では多く古建具を活用していますが、新しい空間の場合でも古い建具が違和感なく納まるよう利用方法を検討したいと思います。
100年の時を経て。
これらの建具が無事に再利用できますように!