西村邸改修工事は、その多くの部分を既存の修理や復原などを行いました。欠損している部分の補修や改修された壁をめくって元の土壁に戻すなど、いろいろな方法で改修をしたのですが、木や土、紙、石などの昔ながらの自然のものをできるだけ使い改修をしました。

改修後、雰囲気が変わったところをいくつか紹介させていただきます。
改修前 茶室前
茶室の入り口がとても整っていましたので、手前の喫茶室からも庭とあわせて眺めることができるようにしたいと思いました。

改修後 覆い屋根を撤去して庭に戻しました。壁は全体に化粧鋼板で包んでありましたので、取り外して土壁を塗りなおして頂きました。左側の主屋からの出入口は、アルミサッシを撤去して元々入っていたガラス格子の引込み戸を使えるように戻しました。
風情のある茶室前の景色になりました。

改修前 土庇
左の袖壁と濡れ縁の半分が撤去されていました。元は手前の辰巳蔵とこのお庭の一部を車庫としてお使いでしたので、袖壁があるとスペースが狭くなるので随分前に撤去されたとのことでした。百日紅のような曲木で桁を支えてありました。

改修後 袖壁を復元しました。右側と同じような袖壁があったであろう痕跡がありましたので、同じ意匠の袖壁にしました。濡れ縁も元の長さに作り替えました。
奈良町には茶の湯の文化が発達しておりましたので(奈良は侘茶の発祥の地です)、お茶室のあるお家が多かったようです。

改修前 通り庭キッチン
吹き抜けに天井が張られて壁も化粧合板で大壁になっていました。部屋のようにしてお使いでしたので、天井が張られたのは寒さ対策だと思います。

改修後
天井を取り外すと綺麗な火袋(吹抜け)が現れました。上部に窓もあり明るさも入ってきます。キッチン前のタイルの壁を外すと収納棚が出てきましたので収納場所として利用することに。
火袋が復活してすっかり町家らしい空間になりました。


改修前
正面の出入り口の奥は、はなれと納屋に続く渡り廊下があります。

改修後
アルミサッシの戸は木製建具に入れ替えました。この建具も古い建具の再利用です。アルミサッシを木製建具に入れ替えるだけでも雰囲気が変わりますね。

改修前 車庫(主屋東の落ち棟部分)は19㎡ほどのスペースです。

改修後 喫茶室になりました。
この部屋は構造体の取り替えや補強など、比較的大掛かりな工事になりました。土間の部屋になりますので、壁・天井・土間下にも断熱材を入れています。


主屋2階のなかのまは、西側に小窓が1カ所しかなかったので東側に新たに窓を設けました。

窓が増えて部屋全体に明るくなりました。
床は元の床板のままで、天井は張り替えました。土壁は全て塗り直してもらっています。建具はガラスも含めて元のままですが、洗い屋さんに洗って貰いガラスも新品のように綺麗になりました。
奥の南側の部屋は窓に取りついていたルームエアコンを撤去して全面窓に戻しました。
部屋の形は同じでも、少し改修するだけで雰囲気が一変します。


改修前 はなれ棟の1階は床の間のある座敷でした。

改修後 居間兼キッチン(兼洗面)空間になりました。床は畳敷きから杉の厚板張りにしました。
欄間の障子は桟が細いので折れて欠落したりしていましたが、建具屋さんが綺麗に直してくださいました。有難いことです。
外部の建具はアルミサッシから木製建具に。部屋内の建具は既存のものをそのまま使っています。

縁側の隅には洗濯機置き場も設けています。
部屋にベッドでも置けば、この空間だけでも生活できそうです。このようなワンルーム借家(借部屋)があるといいなぁと思います。
キッチンのシンクは洗面台兼用ということで鏡をつけています。一人暮らしや短期滞在を想定すると、このよう方法も良いかと思います。

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