住宅設計の仕事をしていると、住宅や住生活の文化の変遷、特に現代の住まいに通じる和洋折衷様式の住宅が広まり始めた100年近く前の頃から現在までの流れは、現在を知る意味でも知りたいと思うことのひとつです。また、その地の気候風土や産業、生活文化によって家のつくりや使われる素材がおおよそ異なることもとても興味深く思います。「現代住宅の地方性」と言う本は30年以上前に出版された本ですが、地方性に関する分析と北海道から沖縄まで全国各地の住居の特徴や調査結果などがまとめられている本です。借家が大半だった都市、雪が深いゆえに住まいの面積が大きい地方など、様々な要因から住居に特徴のある地方も多く、現在も僅かに続く地方の住文化の理由が垣間見られます。「現代日本のハウジング史」は1914年から2006年までのマスハウジングのプロセスが書かれており、住宅政策や都市政策、その時々に影響のあった最新の住宅や潮流などが書かれてあります。(2015年出版。昨年、日本建築学会著作賞を受賞されました。)脈々と続く地方の文化とは別に、国の政策が及ぼす影響の大きさを感じます。どちらも大学時代の恩師の住田昌二先生のご著書です。(現代住宅の地方性は共著)ゼミは違いましたが再びご著書で先生にご指導いただけているようで嬉しく思います。

こちらは「日本民家のつくりと農山村文化」(栗野圭司氏著 奈良新聞社出版)。昨年出版された本で日本各地の民家の特徴、近畿の民家、特に奈良県宇陀地域の民家がたくさん掲載されており、身近に感じます。一昔前の生活やその時に当たり前とされていた考え方、生活道具のイラストと使われ方なども記録されています。考え方の変遷と言うのは目に見えるものではないのですが、そこに暮らす人々の考え方が住居形態や生活文化を作り上げていたことを感じることができます。
